大田区では長年「JR・東急池上線・東急多摩川線の蒲田駅」と「京急蒲田駅」を東急を延伸させて地下で繋ぎ、京急空港線に乗り入れる計画が存在します。
蒲田駅同士の距離は約800mほどの距離になりますが、建設費などの問題もあり長年この計画は進行しませんでした。
費用は「国」「東京都・大田区」「第三セクター」で3分の1ずつの負担が概ね決まっておりましたが、「東京都・大田区」の費用負担が「3・7」に決まり、長年進まなかった鉄道新線の建設協議が進むことになりました。
そして2022年10月、第三セクター「羽田エアポートライン株式会社」が設立され、新路線開通までの準備が始まっています。
大田区は長年JR・東急と京急の蒲田駅が離れており、街が分断されているとの課題がありましたが、この計画が進み完成をすれば蒲田の街全体の活性化に繋がり、不動産開発・投資が活発になると思われます。
【不動産知識・勉強のためのリンク】
東急蒲田駅〜京急蒲田駅接続「新空港線」(蒲蒲線)概要
計画名 | 「新空港線」(蒲蒲線)の整備事業 |
運行ルート | 東急蒲田駅〜京急蒲田駅 |
開業時期 | 2030年代予定 |
1日利用者数見込み | 約57,000人 |
開業後黒字予定 | 開業17年後 |
総事業費用 | 約1,360億円 |
両駅の間は約800mあり、徒歩やバスの移動を行っています。
JR/東急蒲田駅と京急蒲田駅との間で、頻繁な人の行き来は現状あまりありません。
両駅が直接鉄道で結ばれることで、互いの蒲田駅同士の行き来がスムーズになり、大田区の東西移動が楽になります。
また東急多摩川線だけでなく、線路で直接繋がる「東急東横線」「東京メトロ副都心線」「西武池袋線」などの沿線から、新たな羽田空港までのアクセスができることになります。
大田区・東急電鉄:蒲蒲線「第三セクター」を2022年10月に設立
2022年9月20日の日本経済新聞のニュースで「東京都大田区」と「東急電鉄」が新空港線(蒲蒲線)整備主体の第三セクター(三セク)を設立すると発表がありました。
【蒲蒲線整備の三セクを10月設立 東京都大田区と東急電鉄】※日本経済新聞リンク
これより本格的に鉄道の建設を進めていくことになり、先行して第1期事業「矢口渡駅〜京急蒲田駅」間の建設を行います。
東急蒲田駅・京急蒲田駅の「新空港線は地下に建設」
東急池上線・多摩川線蒲田駅は現状高架駅となっています。
この高架駅の設備はそのまま残る予定ですが、東急多摩川線方面からの京急蒲田駅方面に接続する「新空港線:東急蒲田駅は地下に建設される予定です」
※東急池上線はそのまま高架駅を使用する予定です。
地上から京急蒲田駅方面への線路の延ばすスペースがないこともあり、京急蒲田駅方面に向かう電車は地下に駅設備を新たに設けます。
同様に京急蒲田駅も周辺の地上部に駅を設置できるスペースはないため、地下に新たに駅を建設します。
線路幅が違うため、東急多摩川線方面から羽田空港への直通運転は難しい
東急の線路幅と京急の線路幅が異なるという点があり、現状では東急多摩川線方面から直接羽田空港駅への乗り入れは難しいとされています。
東急側は「狭軌:1,067mm」
京急側は「標準軌:1,435mm」※新幹線と同じ幅の線路
となっており、これをどちらかに合わせることができないと「直通運転はできません」
これらの線路幅問題を解消するため、「フリーケージトレイン」の開発をされておりますが、2022年現在まで実現されたことはなく、JR九州の西九州新幹線ではこのフリーケージトレインの構想がありましたが、結果西九州新幹線では断念しております。
フリーケージトレイン技術は相当に難易度が高いものです。
フリーケージトレイン以外の方法では、やはり「線路の幅を東急か京急の電車に合わせる」ということになります。
しかしこの場合、線路改修のための長期の工事と費用が掛かってしまうため、現状では得策ではない」と考えられています。
現在の運行想定では「東急蒲田駅から京急蒲田駅まで東急の電車が運行」して「京急蒲田駅で乗り換え」という案が最も有力です。
また、東急の電車が「3両」で運行されていることに対して、「京急空港線」が「8両」での運行になるため、輸送量の問題もあります。
羽田空港へのアクセス方法は、現状では「京急蒲田駅」で電車乗り換え案で決着がつきそうです。
※将来の東急多摩川線方面からの直通計画も引き続き検討中です。
東急沿線・東京メトロ副都心線沿線と直接繋がる
この新空港線が完成すると「東急東横線沿線」東急東横線沿線を通じて「東京メトロ副都心線」「西武池袋線」と線路が「京急蒲田駅」まで繋がることになります。
山手線西側の方は、羽田空港まで向かうルートが増えることになり、利便性が向上します。
近年羽田空港には「JRも直接乗り入れ計画」を発表しており、現在工事が進行中です。
羽田空港までのルートがJR・私鉄を含め選択肢が増えることで、沿線や乗り換え駅となる駅・駅周辺の再開発計画や沿線の不動産投資などの動きが活発になります。
新空港線は「2030年半ば」の開業予定で、まだまだ先の話になりますが、新しい羽田空港までのルートができることで利便性が向上し、大田区だけでなく「沿線の方や羽田空港利用者が増えること」はとても良いことではないでしょうか。
東京都内:他鉄道新線計画
全国では人口減少時代に突入しておりますが、東京都内では依然として人口増加の傾向があります。
新たに地下鉄整備などの計画も発表され、今後も東京都内での不動産開発・投資が活発になるとされています。